襖の貼替 量産襖(段ボール襖)②
お家を新築される時や、マンションを購入される時に、襖の素材をチェックされる方は少ないと思います。
ですので「不具合が出やすい襖」「貼替に適さない襖」と言われても納得できないかと思います。
販売している業者様も、将来的なメンテナンスまで知識が及んでいないという事もありますので、いざ、貼替を考えたタイミングで、量産襖のデメリットを知る方も多いのです。
貼替技法が違うという事は①で書かせていただきましたが、「キレイに仕上がらない可能性」を書かせていただきます。
まず経年劣化(寿命)です。
丁寧に使っているお部屋でも、30年以上経過していたら、何かしら問題が出るとお考え下さい。
特に日当たりが強い部屋、湿気が多い部屋では、早くダメージが出る事もあります。
経験では、築4年で貼替不可能と判断した事もありました。
環境次第で大きな差が出てしまうのも、量産襖の特徴です。
次に使い方。
これは、タバコのヤニで汚れた襖と、新しい襖紙を重ねたものです。
ここまでヤニが酷い場合は、貼替後の早い段階で、ヤニ汚れが浮き出て(染み出て)しまう事もあります。
ある程度の下処理を行いますが、完璧に直せる保証はございません。
同様に、ペットのオシッコなどの汚れも、不良が出やすくなります。
同じように見えても、日焼けは心配無用です。
これは、何かをぶつけた穴です。
穴は補修してから貼替いたしますが、あまりにも大きな穴は直すことができません。
目安としては、3㎝四方以上の穴や、裏面まで貫通している穴は直せないとお考え下さい。
*あくまで目安ですので、写真と大きさを計測の上、ご相談ください。
最後に過去の貼替回数です。
間違った技法で貼られた場合はもちろんですが、正しい技法で貼替していても、貼替の回数には限界があります。
多くても3回。通常は2回までとお考え下さい。
シミ、シワなど見た目の不良だけでなく、動作不良を起こす事も出てきます。
中古でマンションを購入された場合、すでに2回以上貼替を行っている可能性もあります。
表面を見ただけでは分からないと思います。私も、見ただけでは判断できないです。
この場合、見た目以外のチェックを行い、貼替できるかどうかを判断いたしますので、過去の回数が不明な場合でも遠慮なくご相談ください。
不具合が出る可能性は、施工前にハッキリとお伝えします。
それをご理解の上、貼替で対応するか、新しく作り替えるかのご判断をお願いします。
ちなみに、新しく作り替える場合は、全て本襖(普通の襖)で対応させていただきます。
本襖なら、メンテナンスが容易で長寿命ですから、安心してご使用ください。
さいたまの建具屋さん s.tateguya@gmail.com