障子の貼替で大変なのは『剥がす』『直す』です。
意外と思うかもしれませんが、今の時期、障子や襖の貼替が多くなります。
(当店だけかもしれませんけど)
障子の貼替は、ご自身でチャレンジされた経験がある方なら分かると思うのですが、何が大変って「剥がす」ですよね。
剥がし方は、紙を濡らし、糊を溶かしてから剥がすのですが、「紙を濡らす」という部分で、施工者により方法が大きく変わるようです。
ホースで大量の水を掛ける方法もあります。
確かに剥がれやすいですけど、私的にはNG。
障子本体に大きなダメージを与えてしまい、急激に劣化してしまいます。
私は、刷毛はスポンジで、糊の部分だけを狙って濡らす方法をとっています。
障子がシミになりにくく、劣化を少なく抑える事ができるからです。
糊の質によりますが、簡単に剥がれる場合と、そうでない場合があります。
私が貼った障子なら簡単に剥がせますが、てこずる場合は、水を塗布→剥がす→水を塗布→剥がす、と、少しずつしか剥がせない事もあります。
剥がすだけで30分以上格闘する事もあります。
剥がした後、ササクレがあれば紙やすりで削り、平滑に整えます。
これも苦戦する事が多いです。
古い障子、というより、質の悪い木材の時に苦戦しますね。
剥がす、ササクレを直すだけで、かなり長時間かかる事もあります。
もちろん、短時間で終わる事もありますが、予定を組む段階では、下処理(剥がす、ササクレ等を直す)に30分かかるものと考えています。
貼るのは、紙の種類や組子(桟)の本数などの要素で変わってきますが、標準的なもので15分というところです。
合計45分、2時間で3枚の計算です。
下処理の手間を省く(手を抜く)という方法もありますが、ここは頑固な私。手間を省くという考えはございません。
ですので、一日に貼れる枚数は10枚前後となります。
また、天気が悪いと乾燥時間が長く掛かります。天気は計画段階では分かりませんので、時間的に余裕をもっておく必要があります。
大雨の場合は、作業を延期する事もございます。
最近は貼替をする業者様も増えましたが、私ほど「頑固な」仕事をする人は多くないように感じます。
だから、とは言いませんが、年に数回、他社様が施工した障子のやり直し、というご依頼がございます。
(正直、あまりやりたくないですけど)
他社様との違いは材料ではありません。下処理のこだわりに大きな差があるようです。
と、最後は自画自賛で締めさせていただきます。
梅雨に入ってしまったので貼替には不向きな季節になりましたが、いただいたご依頼には全力投球致しますので、お気軽にお声掛けください。