建具職人の原点『障子』
作業をしていて、ふと「障子は建具職人の原点だなぁ」と思いました。
障子はシンプルなのに奥が深いです。
私が一番最初に作ったのは障子。作り方としては単純。基本中の基本になります。
今、かなり経験を積んで気づくのが「職人の腕が一番分かるのも障子」という事。
やっぱり深いですよね。
現場作業では、現場に合わせて加工が必要です。
柱(枠)の歪みに合わせてカンナで削ります。
上手に削ればスキマ無くキレイに仕上がり、閉めたときに拍子木を打つような「ピシャ」という良い音がします。
カンナ屑を見ながら、自分の技量が上がった事を実感します。
熟練の職人は、カンナ屑が少ないのです。
厚く削り、おおよその形を整えて、薄く削って仕上げる。
この感覚が優れていれば、作業のスピードも速く、カンナ屑も少ないのです。
カンナの切れ味が悪かったり、感覚が鍛えられていない職人は、削る回数、時間がとても長いです。
一見、丁寧に作業しているように見えますが、実はモタモタしているだけ、なんて事もありますね。
障子を作るのは、材料(木材)の見極めから始まります。
同じ樹種でも、障子に適したもの、不適なものなどがあります。
保存方法など、いろいろ考える部分もあります。
作り、現場に取り付けるまでが職人の仕事です。
良い職人が作り、現場作業した障子は見た目の美しさはもちろんですが、劣化が少ない(寿命が長い)のです。
できるだけ長く、美しく使っていただく。
これを目指し続けるのが職人だと考えています。
まだまだ学び続けます。